前置き
マラウイはアフリカの東部に位置する内陸国。
小さな国で、国土の三割を巨大なマラウイ湖が占める、「アフリカの温かい心 warm heart of Africa」とも呼ばれる。
そんな国に去年大学のプロジェクトで六週間滞在。そこで会った人たちに惹かれ、今回は自分一人で、教育プロジェクトを去年知り合ったマラウイ人の大学生と進めるために帰ってきた!
憂鬱な朝によぎる活動への不安
朝起きる。
いろんな事をしなきゃ、でもどこから始めよう。昨日のジュディス基金のおじさんと話したことが思い出され、少し憂鬱な思いがする。気を引き締めて朝ごはんを作ろうとするけれど、まさかの停電で、囲炉裏でトーストを焼く。焼きながら、つい弱音を隣で朝食を作るメイドのおばさんに吐く。
「プロジェクトの運営の仕方全然私は知らないのに、何をしようとしているんだろうって思ってさ。もうわかんないよ」
そうして昨日のジュディス基金のおじさんからプロジェクトのイロハを知らない事に気づかされたこと、自分のプロジェクトの意義が分からなくなった事を話す(詳しくはこちら⇒ジュディス基金で未熟さに涙、陽気な友人に救われる)。
おばさんが、「そうね、確かに学ぶべきことはいっぱいあるよね」と話しながら、私が朝食を作り終えたのを見計らって、一緒にテーブルに付く。そして座りながら何気なく
「でも、れな、あなたが台湾からマラウイに来ることも楽な事じゃないのよ」
とふいに言う。
私は固まる。そんなこと、言ってくれる人がいると思ってなかった。私自身でもここに来ることが大変だなんて思ったことはなかった。でも言われたら、確かに私の中では大きな決断だった。言われて、認められて、泣きそうになる。マラウイに行くことは決して簡単な事ではなかった。
続けて力強く私に言い切る。
”DON’T GIVE UP!! life without problem is not life”(あきらめないで!問題がない人生なんて人生じゃない)
そうおばさんがいう。でも、、、と私が続けようとすると、
「も~~!My dear, take it easy!(そんな焦らないで!)」という。
いろいろありすぎて悶々としていたけれど、「あなたが進めているプロジェクトはいいから、進めながら学びなさい。本読んで、学んで。私も何かチームに加わってもいいし、私がチームにあなたが悩んでいることを話して、助言する事もできるよ」
思わず「うううう、エライザ~~!」とエライザにハグしてしまう。エライザが笑いながらハグしてくれる。そして、パソコンの前に座りなおす。
でも、やっぱりどこから始めればいいか分からない。とにかくマラウイに長く住む教授に「相談がある」とメールを送る。教授にプロジェクトマネージメントをどう教わればいいか聞こうと決める。
でもまた放心してしまう。
だめだ、弱った。
「ロックに生きろ」父より
困り果て父親に電話を掛ける。仕事時間だったけれど、まさかの電話を取ってくれて、それから泣き言を一時間聞いてくれる。ただ、父が言うことは一つ。
「いいよ!それがいいんだよ!れな、ロックだ!ロック!プロジェクトのイロハなんかより、とにかく今はいろんな人と繋がったらいいんだよ!超面白いよ今のれな!」
この超ポジティブ、娘への肯定感が超高い父に、いつもは「もっと真面目に悩み応えろや!」と突っ込みを入れ、頭が冴える母親に結局助けを私は求めるのだが、今はこんな父の言葉を求めていたのかもしれない。
電話を切り、父に勧められた通りブルーハーツを聞く。なんかもう、ロックだ!とにかくやってみて、その後もっとちゃんと考えると決める。とにかく、会議しにみんなのもとに行く。
仲間とは。
いつものメンツ、ジェームスとビクターが待っていた。ジェームスの団体のメンバーそして、私たちの活動のサポーターのテーブルもそこにいる。
テーブルと予算の計算をして、前に言われたボランティアの交通費の話をする。
「あの日、交通費の事を聞かれたとき、れなは一人で応えたじゃない?あれは、急いで応える必要はなかったんだよ。チームで考えて、返事すれば良かったんだよ」とテーブルに言われ、素直に「そう思う」と私もうなずく。もう一日目の交通費を出すと言ってしまった限り、出して信頼をしてもらった方がチームとしてはいい、とテーブルと話し決める。ラッキーなことに、去年のマラウイの活動が認められ学校から賞金がわずかながらもらえる。それをこれに回そうと決める。いつも理論的に考えるテーブルは基盤を形作ってくれる力強い仲間。
その後、明日、二日目のイベントの準備のために私とビクターは本を段ボールに詰め始める。ジェームスとテーブルは明日のために、図書館から本をもらいに町に行く。
その時私のおなかが鳴る。凹み過ぎて、いろいろ考えすぎて、トーストしか食べてなかったのだ。何を思ったのかビクターが「ちょっと待ってて」と言って、どこかへ行く。
帰ってきたビクターの手には何やら飲み物が!「メイズ(トウモロコシ)と、牛乳とチョコレートのドリンク。」と渡される。お金を出そうとすると、「いや、おごりだから」と笑われる。とにかく、本をしまわなきゃと思い、一口飲んで端に置くと、「いや、まず飲んでて!こっちはやっとくから」と、言われる。ありがたく、隣の部屋で飲んでから、図書の部屋に戻る。メイズだったからおなかも膨れる!しかも冷えたドリンクはなおさらおいしい!そしてビクターの気遣いにも感謝!力が湧いてくる。
そうして二人で本の整理をしていたところ、35歳過ぎなのにおじいちゃんと呼ばれるミシェックがやってくる。彼もサポーターの一人。「二人で頑張ってんじゃん!おじいちゃん嬉しいよ」と習いたての「おじいちゃん」という日本語を使い、図書館だというのにワハハと笑う。ミシェックの奥さんと1歳の娘もやってきて、私も挨拶をする。ミシェックが「この子がれな。いつも頑張ってるんだよ!オープンでねいい笑顔でね!」と私にウィンクしながら紹介する。ミシェックはどこまでも陽気で、私は大爆笑してしまう。
そうして本をしまい切り、今度は明日のパンを買いにいく。
ジェームスと町で落ち合い、3人で60斤の食パンを買う。そして明日のスケジュールも刷る。
準備は万端。
仲間に支えられ、学ぶ日々。一人で考えていても何もできないと痛感する日々。
どうか明日は一週間前に開催した一日目より上手くいきますように。
みんなが楽しめるような最高な日になりますように。
最高な仲間との最高な日が過ごせる事が楽しみ!