マラウイ:小学校で読書と未来を語る最終日!

前置き

マラウイはアフリカの東部に位置する内陸国。

小さな国で、国土の三割を巨大なマラウイ湖が占める、「アフリカの温かい心 warm heart of Africa」とも呼ばれる。

そんな国に去年大学のプロジェクトで六週間滞在。そこで会った人たちに惹かれ、彼らとのつながりを絶やしたくないと願う。その後、マラウイの教育課題の事を知り、去年知り合ったマラウイ人の大学生ブレッシングと何か力になりたいと意気投合。目標は大きく!「退学率62%を引き下げたい」と二人でTIWACTという団体を立ち上げる。マラウイの地域の人たち、台湾大学生の人たちが「一緒にやろう!!」と加わり、夢の計画を実施する土台が出来上がった!これは、その彼らとの日々の日記。

最終日開催

最終日は晴れた!

TIWACTの夏のプログラムは今日で最後。子どもたちは時間になる前に毎回校門に集まっていたから、毎回本をメンバーの事務所から運ぶのを手伝ってくれないか、と聞いていたら、今日は初めから事務所の方に来てくれた!みんなで本を手で運ぶ。

子どもたちは本を読むのが待ちきれない様子で、運びながら本を読む。その姿に思わず微笑む。

そして時間になって他のメンバーが来るまで、教室の前で本を読みながら待つ!

ウォームアップ!

やっぱり頭を使う前には体を動かして、エネルギーを発散することが一番!メンバーたちが体を動かす体操と、ゲームをして、子供たちが笑顔を見せる。

彼らとメンバーの距離が近づいているのがはた目からでもわかる。

本を読む力、子供たちの驚きのポテンシャル

まずは読書!

この五日間、メンバーと試行錯誤しながらどんどん改善していった読書のワークショップ。子どもたちは本を読む事が好きで、本の箱を置いたら、たまらないといった様子で本を次から次に手に取り、どれを読むか真剣に悩んで、そして読む。

はじめはただ単に本を渡して、読んで、それを発表してもらうという形だったけれど、発表すると手を挙げた子がまばら。どうやら本の内容を読み解く事が難しいという事がわかった。それから二人一組で本を読み、発表し、発表を聞く子供たちはどうしたらもっとよく発表できるのかを前の二人に伝えるという形へ変えていった。二人一組にすると、二人で助け合うようになり、しかもだんだん本を要約できるようになってきた!最終日はなんと全員前に立ち、本の内容を共有した。

あまりの成長にメンバーたちと感動する。

前に立って話すことは、勇気がいる事。私も手を挙げて前に出るなんて今でも逡巡する。でも、子供たちは一人ひとり前に立ち、少しなりとも話せることを話す。メンバーが言葉に詰まるこどもには「英語が難しいときは母語でもいいよ」と声を優しくかけ、少し恥ずかしそうに黒板にもたれかかりながら話す子どもには「ほら、しっかり前に出て、声を出して!」と応援する。

地域のボランティアたちがどんどん指揮をとり、どんどん子どもたちの能力が引き出されていく。ボランティアたち、メンバーの能力にも惚れ惚れする。

絵を描き、発表する表現の授業

未来教室で、卒業生や、地域で育った人たちが子供たちに自分の育った境遇や、今している仕事の事などを共有。そうしてロールモデルが子供たちにできて、学校に通うモチベーションになってくれればと始めたこのプログラム。絵を描いて、将来の自分を描いて、その後先輩たちの話を聞くというプログラムは次第に子供たち主体の方がいいとなり、絵を描いて、その絵をもとに子どもたちが自分自身の話をする形に変化。

子どもたちと絵を描く大学生のボランティア

子どもたちは発表する場を与えられると、はじめは緊張していたけれど、次第に「私も!私も!」と手を挙げてどんどん話すように。

TIWACT一緒に設立した大学生のブレッシングが子供たちにスピーチのコツを教える。

ロールモデルとしてやってきてくれた人たちは、電話や、スピーチ、一緒に絵を描いたりと様々な方法で子供たちにメッセージを残した。教授や、記者、看護師、絵描き、大学生等たくさんの人たちがこどもたちと関わる。子どもたちが知らなかった世界を伝え、そうして子どもたちの世界観が広がる。

校長の意見、私たちの意見、最後は力強い後押し

「学校にふさわしくない人を招くべきでない。」

そう切り出す校長。

これは初日に校長から言われたことであった。初日は、校長にへこへこするだけで、何も言えなかった。その時ミシェックというメンバーがそこで立ち上がって、私と、プロジェクトのメンバー全員をかばってくれたのだ。

だから、今回はペコペコばかりしてられない。

校長に向き合う。

「学校にふさわしい人とはどういう人ですか?」

校長が気になっているのはドレッドヘアのボランティアの事。校長にとってはそれは子どもたちが真似たら悪影響になるスタイル。ブレッシングと私は代わる代わる私たちが思うロールモデルと、子どもたちがいろんな文化背景を持った人と接することが大切だと話すが、校長は「学校では正式な服装が要求される」と言う。

正式とは何か?ある一種の文化の人を子どもたちと隔離したら、将来その子どもたちが大人になったときその文化の人と関わらない事が習慣となっていけば社会がどんどん隔離されていくのではないか?私たちは学校の教員ではないし、私たちが存在するのはそれこそ学校では触れ合えない人や、考え方などを子どもたちに触れてもらうためである。

でも、私はマラウイの文化的な脈絡をあまり理解できていないから、校長の懸念を理解できないというのもあるのかもしれない。そうしてブレッシングを見る、そしてブレッシングが補う。ロールモデルとは、どんな人を招くのかという最終的に結論は出ず、校長は感謝の言葉を言って話題が変わる。

急な変化に驚くが、校長の話を聞く。

「この活動を続けるべきだ、だから後任の校長に話を付けておく。もしも後任の校長がないことにしても、僕がこの地域の学校を管轄する上の方の立場を任されているから、心配するな。」

それは私たちへの力強い後押しの言葉だった。

すべてをお互い分かり合えるわけではないけれど、それでも一緒にやっていくベースが作り上げられていく。校長が私たち大学生にこの機会をくれた事を感謝し、別れる。

チームで反省会

教室に戻ると、もぬけの殻。

ブレッシングが「おなかが空いた!食べ物残してくれてるかな」と心配し始める。とにかく事務所に二人で戻ることにする。途中ジェームスの家に勝手に寄ると、ジェームスの奥さんが「二人の分はここよ」と、たくさんのご飯と、煮込んだ豆と、サラダを手渡してくれる。それを持って事務所に帰る。

事務所に行くと、みんなが私たちの事を待っていた。

後から聞いた話だったが、ジェームスが私たちの助けのために校長室に行こうとしていたところを、別の仲間が私たちに任せて、先に事務所に帰ろうと言ってくれたらしい。信頼し、信頼される関係がここにある。

とにかく時間も遅いから、振り返りの会議をと急ぐ私を仲間が、「まず食べなさい」と進めてくれる。食べながら仲間たちが一人ひとり考えを共有する。

「ご飯を提供する、だから来るのか?いや違うんだ。子どもたちは本を取るために走りに来るけれど、ご飯のために走ることはない。」

とにかく、僕たちの活動が続いていくことが大事。

自分の反省、これからの事

帰宅する道にビリトンに考えを聞く。

一体彼にとってどうだったのか。

「とにかく楽しかった。五日間いろんな事を学んだし、生徒たちと絆のような関係が結ばれて僕にとって今までにない体験だった。」

でも、私には引っかかっていたことがあった。それはこれからの事。

「私はリーダーに向くのかな、、、」

「ブレッシングはいいリーダーになると思うけれど、まだ学生だから成長する時間が必要だ」

「じゃ私は?」

「れな、れなは感情的だ。もっと賢くならなきゃ。」

ショックで泣きそうになる。

「れなは人の事を感情を通して見る。そしてその人の事を判断する。でも、もっと賢くならなきゃ」

「じゃ、私はリーダーに一生なれないのかな、、、、私はずっとリーダーになりたかった」

ビリトンの前だと本音が出てしまう。

「れなはマラウイから離れる。残るのは僕たちだ。れなにはリーダーの立場が向くとは正直今思えない。」

信頼している人から言われるからこそ、涙が出る。

「じゃ、どうしたらいいのだろう。私の役目なんてないのかもしれない。私なんてどうしようもないかもしれない。」

「ほら、感情的になるでしょ?」

「、、、。」

「僕たちの活動は子どもたちのため。僕が活動(ビリトンの活動についてはこちらから⇒マラウイ:アーティストの彼が夢見る物語)している時、見たいのは子どもたちの顔」

そうか、と突然納得がいく。

「そう、私が見たいのももっと多くの子どもたちが教育を受けて健康的に成長していく姿。ならば、私がリーダーか、なんなのか、そこに意味はない。団体の中の事じゃなくて、団体の先の事こそに意味があるんだよね。子どもたちが笑顔になる、それだけが大事なのなら、役目はなんだとしても、とにかく上手くプロジェクトが回るように考えればいい、、、、そういう事?」

ビリトンがうなずく。

「僕の師匠、あの一緒に僕と制服を繕いに行くプロジェクトをしている人は、静かなリーダーなんだ。彼はものうるさく言わない。僕にすべて任せてくれる。僕がこのプロジェクトを進めるようサポートする。」

「そんな人になりたいな。こんな私にこのプロジェクトを進められると思う?私は賢くないのに?」

彼に聞く。答えを聞くのが怖い。

「れな!プロジェクトを始めたのは君だよ。君は賢い。ただ、もっと賢く、もっと賢い判断ができるようにならないといけない。他の人がどんな事を考えて行動しているのか、どうしたらその人たちが協力してもらえるようになるのか、考えて、行動する。」

ビリトンはいつも私の事を賢いと言う。そして毎回全然違う世界の見方を教えてくれる。

感情ではなく、頭を使う。感情で判断するのではなく、理性的に判断する。

マラウイのチームが子供たちのサポートのこの活動をどんどん進めて、子供たちがどんどん本を読んで、勉強して、学校に通い続けることが大事。

授業内容を練る事、効果の測り方等は私も一緒にできるけれど、実際に彼らの方がどんどん子どもたちのニーズを把握していく。ボランティアを集めて、授業内容を改善して、評価の仕方を改善したら、後はまたもう一度フィールドに戻るだけ!どんどんやりながら改善していく最高のチームなんだから!

私は個人で何もかもやろうとする。それが最大の弱み。何もかも私がやらないといけないと思い込み、信頼することができず、他の人の失敗を許すことができない。自分の失敗も許すことができない。それがチームワークを滞らせていたのか。ああ、どんどん任せて、討論して、チームの意見を聞いて、チームとして判断する。強いチームだから、大丈夫。

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